ユニバーサル教材では,特別支援教育教材の製作・販売をしています。
言葉での説明では課題の意図が読み取れず、内容の理解が難しかったり課題へ取り組むことが難しかったりするタイプのお子さんがいます。
当店の教具はそのような状況を解消します!
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それぞれの商品ページに教具を使った指導例を掲載していますので,教具活用の参考にしていただけます!
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能動的な活動を意識した支援を
1能動的な活動とは
能動的とは,大辞林には「自分から他に積極的に働きかかるさま。自分から他に作用を及ぼすさま。」とあります。つまり,子どもがやることや言うことを教師に指示されて行うのではなく,他のものに対したときに,自分で考えて、判断して行動することと考えることができます。私たちは,子どもを指導する時に,教材の提示と指示を行うわけですが,この指導を子どもに能動的な活動をさせることにポイントをおいて考えてみたいと思います。
2学習指導要領「生きる力」にかかわって
学習指導要領の総則に,次のような説明があります。
「学校の教育活動を進めるにた当たっては,各学校においては,児童に生きる力をはぐくむことを目指し,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を活かす教育の充実に努めなければならない。」
これは,生きる力をつけることが目標であり,そのためには,思考力,判断力,表現力をはぐくむ必要があると読み取れます。ここでいう思考力,判断力,表現力とは1で述べた「自分で考えて,判断して,行動する」と同じ意味と考えてよいでしょう。つまり,学習指導要領でいう,「課題を解決するために必要な思考力,判断力,その他の能力をはぐくむ」ためには,能動的な活動が有効であると考えてよいと思います。
3参考文献の事例として
岩波新書に「子どもとことば」という本があります。少し古い本ですが,この中に子どもがことばを獲得して成長していく過程についての説明があります。
「赤ちゃんは「人間の社会のなかへ生まれ出てくる。そして人々とのかかわりあいをとおしてその社会の文化をわがものとしてゆく。つまり,人間関係をとおして「外」なる世界を,自分の「内」なる世界たらしめてゆく。しかし,大事なことは,そうした環境をただ外から与えられたもの,外的刺激の機械的影響としてうけとるのでなく,子ども自身が自分の能動的な活動をおとおして,自分のものとしてゆくところに発達ということのいちばんの特徴があるわけである。」
岡本夏木著「子どもとことば」岩波新書より
4具体的な指導事例として
① 特別支援学校「作業学習」における事例
私が以前勤務した特別支援学校高等部の教育課程に作業学習という指導形態がありました。ここで紹介する事例は,織物の制作活動をしている生徒についてです。織物は卓上織機を使って製作します。この織機は,ソウコウの切り替えを手指でレバーを押して操作で行うものでした。ですから,オサ打ち,ヨコ糸通しとともにこの操作を覚えないと織機を扱うことができませんでした。事例の生徒は,発語が少なくことばでの意思疎通が難しい実態でした。板ヒに巻いたヨコ糸を正確に通すための補助具を織機に取り付けることで、ヨコ糸通しとオサ打ちの工程が独力でできるようになりました。難しかったのはソウコウの切り替えの操作の手順を覚えることでした。結局,この生徒はソウコウの切り替えの手順を習得するために1年近くを要しました。私たち大人なら,初めて織機に接して,数回説明を聞いた後,織機に向かっていれば,操作方法を容易に習得できるでしょう。しかし,この生徒の場合,一度操作方法を説明しただけでは理解することは困難なのです。授業ごとに,生徒の傍で操作方法を指示します。この繰り返しの中で操作方法に気づいていくのです。分かったことですが,この生徒はソウコウの切り替えの工程をマスターするときには,レバーとソウコウの動きの関連(どのレバーを押せばどのソウコウが動くのか)も理解している事が分かりました。生徒はレバーを押しながらどのソウコウが動くのかを見ていて,違うソウコウが動くとレバーを押し直していたのです!このことについて私は教えたことはありません。(言葉でその事を説明しても理解は難しいでしょう)この生徒自身の気づきなのです。くどくなりますが,違う言い方をすれば,この生徒は教えられて理解したのではなく,自分自身から気づいて理解したのです。教師としての私がしたことは,この生徒が気づくための環境を整えたことと言っていいでしょう。気づくためには、独力で織機を操作できる環境づくりです。ただ,この環境を整えることが教師がするとても大事な仕事であると思います。
② 小学校特別支援学級「算数」における事例
かけ算の事例です。導入時に,例えば4こずつの3つ分を4×3と書き,4+4+4が答えになることを指導します。教材として,10までの数系列盤(自由枠),数十枚のタイル,4×3=12と表記できる数字と記号のタイルを用意します。児童はかけられる数を3枠分を数系列盤に並べていく活動をします。この事例の児童もことばでの意思疎通が難しいので,算数の場合は文字での数式の提示が課題内容の指示となります。はじめは一緒にタイルを並べながらやり方に気づかせます。答えを求めるときには,並べ終えたタイルを数えます。並べ終えてからタイルを一つずつ数えていたのですが,この学習を繰り返す中で,かけられる数ずつ並べていくときに,1枚目からタイルを並べながら数えるようになりました。そして,最後のタイルを並べ終えたときにはかけ算の答えが分かるようになりました。つまり,この活動を通して答えを導き出しやすい方法に気づいたのだと思います。さらに,例えば,4の段の九九を,かける数を1から10までこのタイルを並べる方法で求めて答えをノートに記載させる活動をしたところ,タイルを数える活動をせずとも,前の答えにかけられる数をたしていくことで解答できることにも気づくことができました。この児童のこれらの一連の行動は,「課題の中で,自分で考えて,判断し,行動する」ことにより課題解決する方法を見つけたと言えます。
5能動的な活動が引き起こす学びについて
今まで学習指導要領に沿って,能動的な活動による学びを2つの事例をあげて説明してきました。ここでは,子どもの「学び」という視点から出発して能動的な活動を考えてみます。
ここで,学びに関わる文献の一文を引用します。
「学びとは,教育内容である対象世界(モノ)との出会いと対話であり,その過程で遂行される他の子どもの認識や教師の認識との出会いと対話であり,新しい自分との出会いと対話である。」
佐藤 学著「授業を変える学校が変わる」小学館より
学びとは,モノ,ヒト,自分自身に対する考え方の再構築にあるというのです。佐藤先生は,これを「学びの三位一体論」と説明しています。対面するモノに対する考え方の再構築という学びは教科内容の習得と言っても良いでしょう。知識の獲得と言ってもいいでしょうか。佐藤先生の説明では,教科学習の過程で,他にも学ぶものがあるというのです。学習の過程で関わる教師やクラスメイトとの関わりにも学びがあるのです。さらに、学習の過程で新しい自分との出会いという学びがあるのです。この出会いとは,今まで自分では理解できなかったことへの気づきをさしているのではないでしょうか。「あっそうか!」という心の動きをささしているのだと思います。
先にあげた2つの事例においては,「教材(モノ)との出会いと対話」「教師の認識との出会い」「新しい自分との出会いと対話」があり,結果として「学び」となったと思われます。
6まとめ「向き合う子どもの支援のあり方として」
特別支援の学校での作業学習での事例のところでも書いたように,能動的な活動をさせるためには,教師による環境設定が重要であると思います。その具体的な方法として,いくつか記します。
◯能動的な活動をさせるために
① 子どもの実態を把握する。理解できていること。できることを見つける。
⇨理解できている内容から始めて,それを伸ばし,そこから広げていく。
② 学習内容に関心がなかったり,興味を示さなかったりするがゆえに,学習に集中することが難しい子のために
⇨子どもの好きなもの・ことを教材にする。
③ 言葉や文字で課題のやり方を理解することが難しい子どものために
⇨手で操作できる教具を用意する。写真や絵カードを使う。