気づける環境をつくる!
私が,ある小学校の特別支援学級を担任していた時のことです。自閉症の子の算数指導をしていました。この子は,発語がなく,やることがないと常に身体を動かしたり時にジャンプしたりするのが好きでした。10までの数の指導をしていました。一つの枠に10個のブロックが並べられる数系列盤に,並べる数量を示した数字ブロックを置き,その数量を並べる課題を繰り返しやっていました。この子は並べ終わるとブロックを指で触って並べた数量を確認していました。ある日,4個並べた後に,並べる数を指定する数字ブロックを6に換えました。すると,ブロックを2個取ってすでに並べてあった4個のブロックに加えたのです!私は,すかさず他の数でも確かめて見ました。同じようにブロックを取って加えたり,取ることさえもできたのです。つまり,4と2で6になることに,この学習を通してどこかの瞬間に自ら気づいたのだと考えられます。さらに,8個のブロックを並べる課題で,指で触って数を確認することなくブロックを並べ終わりました。7個の時もそうでした。並べるブロックを10個小箱に入れて学習していました。つまり,箱の中に残ったブロックを見て,8個,7個並べたことを確認していたのです!10の数の合成分解を理解していることもわかりました。これを理解するまでに多くの時間は要しましたが,日々繰り返された学習の中で,自ら数への気づきがあり理解につながっていったのだと思います。